Friendfeedはインテリジェント・ロボットか(現実になる立花隆の未来予測)

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もう10年ほど前だが、立花隆の書いた「21世紀 知の挑戦」という面白い本があった。1998年当時のサイエンスの最新技術を紹介し、21世紀の展望を立花隆なりの見解で語っているものだ。


当時私はまだ大学に入りたての頃でなぜか当時生命科学に興味があり、その部分でも面白い内容だったため、テレビの特番も合わせて興味深く本を読んだ。


この本の序盤に情報処理に関する話で面白い話がのっていた。たしか、「情報奴隷」が今後の人間の生活で重要な位置付けとなってきて、それをどう利用するかによって、人の能力自体にも差がついてくる、といった話だ。


「情報奴隷」といってもネガティブな意味ではなく、ようは自分に必要な情報を自分に代わって効率的に収集してくれるロボットのようなもの、と書いてある。まあ、ロボットみたいに実体がなくても、そのような情報処理は可能だと思うが、ここでは分かりやすくあえて「インテリジェント・ロボット」と言っている。「情報奴隷」はあまり気持ちのいい言葉じゃないので、この後は「インテリジェント・ロボット」ということにする。


もう少し詳しく説明すると、21世紀になり世の中に情報があふれてくると、人はその膨大な情報の中に埋もれてしまい、本当に自分に必要な情報を探し出すことが困難になってくる。そこで、人の代わりに必要としている情報をそれらの膨大な情報から集めてきて、必要な部分を抽出する処理を行い、その人にとって必要な情報だけをそのインテリジェント・ロボットが濃縮して提供してくれる、という話だ。ここでは、そのようなことが実現するには今後1世紀以上かかるだろうとしている。


最近かなりヘビーにFriendfeedを使っていて思うのだが、この「インテリジェント・ロボット」というものは、いまのFriendfeedでほとんど半分実現できているのではないだろうか。"ほとんど"と言ってるのは、まだ状況的なもの、機能的なもので足りない部分があるからで、こちらについては後述する。


私はおもに"OpenID"に関する情報を集めており、Twitter、はてダ、またはブログ検索などで、国内外を問わずOpenIDについて造詣の深そうな人のアカウントを見つけると、かたっぱしからFriendfeed上でSubscribeしている。(FriendfeedのSubscribeはTwitterのFollowと同じで、相手側の承認がなくても一方向でコンタクトリストに追加ができる。)


そうするとどうだろう。使い始めてすぐ、なんとなく予測はついていたのだが、それらの人たちが更新したブログ、ブックマーク、twitterのコメントなどのライフログで、かなり純度の高いOpenIDに関する新しい情報が拾えるようになった。(twitterの世間話みたいなものはとばし読みして、ほかにも英語難しくてよくわかんないとこもあったりするけどね)


そうなのだ。自分のリアル世界の"ともだち"Subscribeするという使い方でなく、情報収集を目的として、そのある”テーマ"に関して造詣の深く、かつ現在強く興味を持っている人をFriendfeed上のSubscribeで集めると、その人たちの"ライフログ"は立花隆の言っている「インテリジェント・ロボット」に近い役割を十分に果たすようになる。実際やってみると実感できると思うが、これは本当にすごいことだ。


OpneIDはWebの技術なので、たまたまFriendfeed上にそれに関する知識人が集まっていたが、そのほかの"テーマ"についての知識人たちの多くはまだFriendfeed を使っていない。そのためしばらくは、このメリットはある種の"テーマ"に限定されるかもしれない。ただし、将来的に多くの知識人たちのライフログFriendfeed上に出てくるようになれば、さらにすごいことになるだろう。


あと、利用価値が高いのがFriendfeedの「全文検索」の機能で、これを使ってたとえば「OpenID」について検索すると、OpenIDが含まれたすべてのユーザーのライフログが検索結果で表示できる。このなかから、鋭いコメントをしてたり、興味深いコメントをしているひとをさらに追加すると、それらの人はその後さらに同レベルのクオリティの情報を提供してくれることがある。(まちがってSubscribeするべきじゃない人もたまにいるので、それは後から消したりもしてる)


今後将来的な可能性として、ある"テーマ"に関する知識人をグルーピングしたコンタクトリストを作り(パブリックなグルーピング、ある技術に関するGeekたちのグループなど)、それを皆で共有できるようにすれば、ユーザーが自分の興味がある"テーマ"についての知識人グループをまとめてSubscribeすれば、極めてレベルが高く、かつ鮮度の高い情報がリアルタイムに見れることになるだろう。そのためには、まだまだもっと多くのユーザーがFriendfeedに参加する必要があったり、コンタクトリストをグルーピングする機能も必要になる。


情報感度が高い一部の人々は、もうあたりまえにこのことに気付いているだろう。 Friendfeedのようなサービスを使いこなすのと、よく分からないからいから敬遠する人の間で、今後相当な情報格差が生まれてくるかもしれない。


これは単なるコミュニティでなく、21世紀早々に生まれた「インテリジェント・ロボット」じゃないだろうか。


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